Fernandes社に在籍時「世界一売れたエレキギター」ことZO-3を開発し、また独立してZodiacを立ち上げてからも布袋さんやHISASHIさん、HYDEさんetc...といったトップアーティストのギターを製作した松淳さんが今年2月6日に亡くなられました。

ギター製作のみならず、アーティスト使用のギターのリペア、特に布袋さんやHISASHIさんのオリジナルZemaitisを「現代の音楽シーンで “ 使える ” ギター」にするリペア技術や、歯に衣着せぬ発言をしたかと思いきや繊細でどこか危うさを感じるお人柄など、僕にとっても妙に気になる存在だった松さん。
そんな松さんの手掛けるギターはもう手に入らないんだ、と思った時、長期在庫でまだ誰の手にも渡っていない新品のZodiacが売り出されていることを知り、思わず飛びついたのが今年の2月中旬でした。


それがこのギターです!
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Fホール等が無いのでソリッドボディに見えますが、実はボディバックがくり抜かれたシンライン構造です!ボディ材は、トップがメイプルバックがコリーナです。
松さんは生前にインタビューで「コリーナ材を使ったホローボディが今マイブーム」とおっしゃっていました。一時期のお気に入り仕様だったんでしょうね(^^)


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ピックアップは前後共にリンディーフレーリンのP90(ソープバー)タイプです。
リンディーのP90はこのギター以外にも何本かで所有して使用したことがありますが、高さ調整次第でHOTにもCOOLにもイケるなかなか器用なピックアップだと感じますねー。


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ブリッジは布袋モデルにも搭載されていてお馴染みのZodiacオリジナルのブリッジです。


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ジョイントはボルトオン
Zodiacの刻印入ジョイントプレートです(^^)


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ネックはメイプル指板はローズウッドです。
ヘッド形状は布袋モデルで見られるような、テレキャスターヘッドをちょっと変えたようなデザインのヘッドになっています。
ネックはちょっと太目指板エッジがロールド処理された、とても握りやすいネックです。この辺の処理の丁寧さはさすが日本の工房製という感じで洗練されています!


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このギター、僕の第一印象は「ウルトラマンみたい(笑)」で、とてもポップな雰囲気で「かっこいい」というよりは「かわいい」といったルックス。
もちろんこれはこれで嫌いじゃないから購入したわけですが、買うかどうかまだ迷ってる段階からなんとなーくリフィニッシュした姿を脳内で連想し、「こうしたいな」「ああしたら似合うかな」なんて買ってもいないのに妄想していました。

そしてその思いは実際に手元に届いて現物を見ると、もっと加速したのでした。
なので、たしか記憶では購入してから1か月もしないでリフィニッシュに出したはずですねー。

お願いしたのは、Bizen worksさんです!
Bizenさんは現在ギター製作に力を入れてらっしゃり、新規リペアは受け付けていないという中でしたが「時間はかかるし納期は約束できないがそれでも良ければやらせてください」と言ってくださり、新規リペア最後の1人(当時)として僕のゾディアックをリフィニッシュしてくださいました!

ビゼンワークスの坂本さん、本当にありがとうございました!!


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こちら、ご多忙な中ビゼンさんから送っていただきました塗装剥離後の写真です!
オリジナルは赤の塗りつぶし塗装だったので、それを剥がしたらどんな木目の木が現われるかは誰にもわからない状態でのリフィニッシュの依頼。。
僕の中では木目が見える塗装にしたいと思っていたものの、もしあまりイケてない木目が出てきたらまた塗りつぶしでのリフィニッシュになる覚悟もあったので、上の写真のように無事「見せられる木目(笑)」が出てきて坂本さんからも「シースルーの塗装でもいける木目ですよ!」とお墨付きをいただき、安心したのでした(^^)

僕は以前からBizenさんのギターの中でめっちゃ好きな色(サンバースト)のギターがあり、その写真とモデルをBizen坂本さんにお伝えして「これにしてください!」と依頼しました。もちろん、それぞれの木がもっている木肌の色味だったり木目だったりは違うので全く同じ色にするのは簡単なことではないのですが、そういうことも計算して「同じような色味になるように調整して塗りますよ」と坂本さんがおっしゃってくれたので、安心してお任せすることができました!

実際にご本人が塗装したギターを見本にして「これと同じで」とお願いしたので、より伝わりやすかったというのも当然あったでしょうしね(^^)


そして8月に入り、ついにギターが完成して到着しました!!
運命の悪戯か、青森県の大雨被害により貨物列車が10日間ほどストップしたことで僕のギターも大きく遅れるというアクシデントがありましたが、無事に無傷で到着してくれました!


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ケースを開けてまず飛び込んできたこのルックスに感動・・・!!


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完成ご報告時の写真は坂本さんからメールでいただいてたものの、実物は全然違います
依頼した当初から「現在ギター製作に力を入れているので時間はかかる」とおっしゃっていて、Bizenさんのご多忙さやご活躍はSNSでもよく拝見していましたので、僕的には1年以上かかることも想定していましたが、まさか半年も経たずして仕上げてくださるとは…本当に感謝です!


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とても落ち着いた、ジェントルな雰囲気になりました!
でも往年のトラディショナルなロックギターの雰囲気もしっかりとあり、めっちゃカッコいい!


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実はピックガードのデザインがまだ決まっていなくて、トグルスイッチがボディ内で待機(笑)してる状態です。従来のピックガードのビス穴は埋めてもらってます。

リフィニッシュしていただいてる最中にいろいろとピックガードのデザインを考えてて、ある程度決まったつもりではいたんですが、実際にリフィニッシュ後の実機を目の当たりにするとあまりにカッコよくて用意していた全ての案が吹っ飛びました(笑)。こんな素敵な塗装をピックガードで隠してしまうのはもったいないぞ、と。。。


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ボディのエッジはナチュラルを残してウッドバインディングにしていただきました。
元々のボディ形状がそんなにエッジが立っていないので丸みがあり、通常のセルバインディングよりもボディ表面側の幅が広めな仕上がりになっています。非常に高級感あり


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赤だったヘッドはブラックにリフィニッシュしていただきました。
坂本さんがわざわざZodiacにコンタクトをとってくださり、補修用にロゴデカールを入手できないか聞いてくださったのですが、やはりそれは難しかったようです(悪用される場合もあるのでこればかりは仕方ないですね)
でも、ジョイントプレートやブリッジがZodiacと書かれたオリジナル品ですし、裏ブタの裏面にモデル名やシリアルも書かれていることから Zodiacである意匠は保たれていると思い、ヘッドはロゴ無しのブラック塗り潰しにしてもらいました(^^)


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ボディバックは、いわゆるチェリーです。
マホガニーではなくコリーナ材なので そもそもの木肌の色が見本のギターとは違ったのですが、これも坂本さんが「同じような仕上がりになるよう調整しますよ」と言ってくださいました!
ちょっとフェードしたチェリーといった感じで、もうほんと大満足の仕上がりです…!!


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塗装のフィニッシュ(吹き方や仕上げ方の種類っていうんですかね?)は、BizenのBURNEDと同じアンティークポリッシュという仕上げにしていただいてます。


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サイドにのぞくチェリーレッドとトップのダークブラウンのコントラストがお気に入りです(^^)


最後にザっと写真をどうぞ。
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もうカッコよすぎて、いつまでも眺めていられますね…めちゃくちゃお気に入りです!
もちろんZodiacの元々の素材が素晴らしいこと、そしてそこにBizenさんのフィニッシュの芸術性が加わり、僕だけの唯一無二の素晴らしいギターになってくれました!

ピックガードを付けるか否かの今後の経過やサウンドのレビューなども今後アップしていきたいと思います!