そういえば先日、ブログを通じてやりとりしている方からこんなメールをいただいたんです。
「2014年の記事にあるメロディーメーカーってその後どうなっていますか?」

あ・・・
そんなものもあったっけ・・・
もうすっかり記憶を封印していました。

というのも、この1960年製GIBSON Melody Makerの裏には、思い出したくない忌々しいある事件があるのです。今回はちょっと長くなるかもですが、その事件について書こうと思います。。。


*******************************************************************


当時、僕には交友のある神奈川県在住のリペアマン(はじめは “ リペアマンと客 ” という関係ではなく “ 友人 ” として出会いました)がいました。仮にA氏としましょう。僕はA氏に何本かのギターのリペアや改造をしてもらったことがありますし、東京に遊びに行った時には宿までとってくれて御茶ノ水の案内もしてくれました。

そんなA氏に僕はギターのオーダーを依頼します。
A氏の工房のキャンペーンで、先着3名(だったかな?)まで非常に良心的な価格でオーダーできるというものでした。ちょうど持ち合わせがあった僕は、先払いで全て支払いました。

キャンペーンは材や仕様などある程度指定された中から選ぶセミオーダーのような物だったんですが、僕はいろいろ細かいところまでこだわった仕様にしてしまったために追加料金が発生し、そのたびに支払っておりました。

使用する材をわざわざ僕の家まで何枚か発送してくれてその中から選ばせてくれたり、実際に木材に塗装したサンプルも送ってくれたりして、非常に良くしてくれました。完成する予定のギターのミニチュアまで作って送ってくれましたし、製作過程の写真もマメに送ってくれました。

そんな中、手に入れたのが冒頭に書いた1960年製のGibson メロディーメーカーでした。
それのレストアも依頼すべく、A氏にギター本体と必要なパーツを送り、そして料金を前払いで支払いました。
僕は完全にA氏の技術や人間性を信用していました。

同時期にオーダーした他のお客さんのギターが先に完成し、サイトにアップされ始めました。僕は、それが自分のギターでも無いのにワクワクしながら写真を見ては、自分のギターの完成を楽しみにしていました。

ある時、オーダーの作業が滞りはじめました。
ちょっと特殊な仕様にしたので他の人よりは時間がかかることは分かっていたのですが。
A氏は「約束の納期が遅れたら○割返金する」という規定を自分に課しているらしく「返金する」と申し出てきたのですが、僕は特に急いでもいなかったので断りました。しかし決まりは決まりとのこと。ただ、現金で返してもらうのはなんだか生々しくて気が引けたので、僕は相当額分のギター周辺機器(アンプやチューナーなど)をプレゼント(?)してもらいました。

その後、A氏は工房を引っ越ししました。
同じ県内なのですが、利便性の良いところということでした。送ってもらった新工房の写真はとても良さそうな物件でした。写真ではまだ引っ越しが終わっておらずかなり散らかっていたのですが。

いつだったか、A氏は入院しました。
真っ赤な目が写った自撮り写真と共に「目を悪くして入院することになった」というのです。僕は気の毒に思いました。そして「ギターは急がないので、まずはしっかりご自愛なさってください」と声を掛けました。その後もマメに入院生活のようすをLINEしてくれました。・・・まぁ入院生活の様子というより、友達なのでただの世間話の連絡と言った方がいいでしょうか。この頃 僕は、他のどの友人よりもA氏と連絡を取り合っていました。

そんなこんなで納期をかなり過ぎてしまい、A氏は「申し訳ないのでお金を全て返金したい」と言ってきました。前述の「○割返金」の時にも書いたように僕は現金で返して欲しいとは思っていませんでしたし、とにかく楽しみにしているギターが無事に完成してくればいいとだけ思っていたのですが、ここは一つ一旦返金してもらって、完成したら改めてきちんと支払おうと思いました。そしてオーダーの分は全額返金してもらいました。(返金を受けないとA氏が納得してくれない、というのもありました)

その後、僕のオーダーギターはついに塗装の工程にまで漕ぎ着けました。
しかし引っ越したばかりでまだ塗装ブースの整っていないA氏の工房では塗装できないとのことで、「奥多摩にある知り合いのバイオリン工房を借りて塗装する」と連絡がきました。当初は塗装中の写真も送ってくれていたのですが、その後「梅雨の時期なので乾燥に時間がかかる」「ちょっとキズがついてしまったので塗り直す」「目の調子が悪い」「バイオリン職人が不在なので工房に入れない」などの理由で、僕が思ってた以上の時間がさらに掛かり始めました。

その頃から、「現状の写真を見たい」と言っても何かと理由を付けて写真を見せてくれなくなりました。いろいろな理由から「今日は作業できない」という日も増え始めました。

たぶん、今これを読んでくれているあなたは「怪しくなってきたな」と思い始めていると思うんですが、その頃の僕は全然でした。
・・・これ、書いていいかな?
実は親友のマーラさんがその頃、僕の立場になってすごく怒ってくれたんです。まるで自分のことのように「A氏は許せない」って。マーラさんもA氏のことはご存知だったんです。でも僕はA氏にはきっとのっぴきならない理由があっての事なんだろうとA氏のことを信じていましたし、今まで誠意をもって対応してくれていたので、マーラさんに「A氏のことをそんなに悪く言わないでください」と逆に怒ってしまいました。
それが全面的に間違っていたことを、僕は後から知ることになるのです・・・
その時は今思い出しても恥ずかしくなるくらいマーラさんに失礼なことをしてしまいましたが、マーラさんは寛容に僕を許してくださいました。

あんなに毎日マメにLINEしていたA氏と、なかなか連絡が取れなくなりました。送ったLINEの返事が一週間以内に返ってくればい良い方、みたいな感じです。そのうち、完全に連絡が取れなくなりました。「いずれ返事が来るだろう」と思って悠長に構えていたら数か月が経っていました。人が良すぎるというかバカみたいに危機感の無い僕もさすがにおかしいと思い始めました。
前述したようにオーダーのお金は返ってきていますが、メロディーメーカー本体、そのパーツ、そしてそのお金は返ってきていません。オーダーギターに載せてもらうために送ったパーツも全てです。

警察や消費者センターにも頼ったんですが、結果は皆様の想像通りです。

実は僕、A氏の彼女さんのことも知っていました。
彼女さんに言うことでは無いと思っていましたが、ある日、手段を完全に失った僕は思い切って彼女さんに相談しました。すると、彼女さんも被害に遭っていたことがわかりました。彼女さん名義でA氏が所持している携帯電話の通話料をまったく支払ってくれないというのです。催促すると仕打ちを受けることもあったそうです。でも支払いをやめて電話が止まるとA氏と連絡が取れなくなってしまうので、仕方なく電話代を払い続けていると言うのです。彼女さんはシングルマザーなので、とても困ってらっしゃいました。

そして彼女さんにお聞きした話により、A氏が入院していたという話も、奥多摩に通っていた話も、すべて嘘だったことが発覚します。

時を同じくして彼女さんもA氏とまったく連絡がとれなくなり所在もわからなくなったとのことで、その後いろいろと情報交換をし合いました。
そして僕はついにA氏の実家の情報を知ることになるのです。

その後の話は生々しいですし事件性もある話なので、書くのは自重させていただきます。。。


*******************************************************************


・・・とまぁ、こんな話があったのが、何年前だったでしょうか。3年くらい前だったかなぁ。
ハッキリ言って、物が手元に返って来てない以上は「本件は解決しました」とは言えないでしょう。でも終わらせました。誰かを恨みながら生きていくって、結構体力使うんですよ。しかし、だからと言って泣き寝入りはしたくない。その妥協点を見つけるのは簡単じゃありませんでしたし、時間もかかりました。

その後、いつだったか、突然LINEの友達にA氏が追加されてきました。電話番号だかメールアドレスで自動的に追加されるシステムでしょう。でも、間違いなく直後にブロックしてるでしょうし、仮にしてないにしても僕からは特にアクションを起こす理由も無かったので、そのままです。

思い返せば僕、人生の中で人に騙されたり(騙されそうになったり)利用されたり、っていうことが一度や二度じゃないんですよ。でももちろんそれは極々一部であって、ほとんどが素晴らしい方々との出会いです。

・・・なんかブログの締め方がわからなくなってきちゃいましたが、この辺で。

ギターやってると授業料を払うことって多いんですよ。期待して買ったけど好みじゃなかった、とか。でもそれらはみんな自分の経験や知識になるからムダではない!ってよくブログで言いますけど、こんな授業料はもうゴメンですね〜(^_^;)



〜追記〜

先日、こんな事件がありましたね。。。

高額ビンテージ楽器“未返却”店が突如閉店

2/12(月) 11:48配信 日テレNEWS24


東京・杉並区の楽器店で、1本80万円のビンテージのベースなど、修理などのために客が預けた楽器が返されず、トラブルになっていることがわかった。

トラブルが起きているのは杉並区の楽器店「バディサウンドワークス」。4年前、店長から「オリジナルモデルを作る参考にしたい」と頼まれ、およそ80万円のビンテージのベースを貸し出した男性には今もベースが返却されていないという。

(4年前に楽器を預けた)野間口浩さん「一番、思い入れのあるベースですね。採寸をするということで『1〜2週間くらいで終わるから』という話で貸したんですけど」

店長には、メールなどで何度も返却を求めたが、「親戚に不幸があった」「携帯の調子が悪い」などと先延ばしにされたという。

店は去年9月ごろに、突如、閉店し、現在は店長の携帯電話もつながらない状態。この店に修理などで預けた楽器が返ってこないトラブルは他にも10件以上起きていて、警視庁にも複数の被害相談が寄せられている。

引用元:日テレNEWS24


ほんと、許せないです。
「親戚に不幸があった」「携帯の調子が悪い」などと先延ばしに・・・っていうあたり、僕のパターンとよく似ていると思います。また、被害に遭われた中のお一人はバディサウンドワークスの店長・山本誠氏と元来友人関係だったらしく、そこも僕と同じです。僕の件も、こういう風に明るみになってくれたら少しは進展があったのかもしれませんが、今更もう望みは無いでしょうね。