ストームというブランドをご存知ですか?
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僕にとっては、何よりも思い入れの強い(?)ブランド。それが「ストーム」。

とりたてて褒める要素も特にないこのストームというギター。誤解を恐れずに言うのであれば、褒めるどころか小馬鹿にしたくなるような要素が満載で、でもなぜか愛らしいこのストームというギター。なぜ僕がこのストームに深い思い入れがあるかと言うと、そこにはドラマがあるからです。




さかのぼること約20年前。僕は18歳でした・・・。




某有名レンタルビデオチェーンでバイトしていた僕は、今は亡き玉光堂 琴似店に吊るされていたOrville by Gibsonのレスポールスタンダードを狙っていました
バイトのタイムカードを見て給料を計算し、Orvilleのレスポールを買える額の給料が支給されることをしっかり確認して迎えた給料日。地下鉄琴似駅にあるATMでお給料をおろしてそのまま玉光堂でOrvilleを買おう!と意気込んでいたのですが・・・

ATMで残高照会すると計算していた金額よりはるかに少ない!!
おかしいぞ!?計算ではもっと多い給料が支給されるはずなのに!!

・・・この金額では、Orvilleは買えません。

そこで一旦踏みとどまってバイト先に電話の一本でもすればよかったものの、「今日俺はギターを買うんだ!!」と意気込んでいた18歳の若者の熱い欲望は抑えられず、間に合う予算でなぜか選んでしまったのがストームだったのです。。。
僕にとって生まれて初めて自分が稼いだお金で買ったギターでした。
(余談ですが、当時はロゴの最後の「m」が「n」だと思ってて、ストーンって呼んでましたw)

ちなみに翌日、職場に出勤してその旨を伝えると案の定経理の計算間違いだったことが判明。今さら不足分が振り込まれたところで、ストームを買って中途半端に散財してしまった僕はOrvilleには手が届かないのです。。。






・・・と、そんなドラマがあって我が家にやってきたストーム。
それから約20年の年月が流れ、18歳だった青年もアラフォーになりました。






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右がストーム。パッと見はまぁ普通にレスポールコピーという感じです。


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写真ではわかりにくいかもしれませんが、トップ材には継ぎ目がありません。
「まさかの1ピースか!?」と思いきや・・・いえいえ、たしかに「ピース」は1かもしれませんが、「プライ」は凄いことになってますよ(笑)。


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一体、何プライなの!?ってくらいかなりの多層ミルフィーユ構造になっているのが写真からもおわかりいただけると思います。しかもトップ材とバック材の間に六角レンチが入ってしまうくらいの隙間が!・・・まぁ、多層ベニヤなので、どこまでがバック材でどこからがトップ材なの?って話ですが・・・(笑)。
ポットもめっちゃ小さいヤツですね。


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フロントピックアップのキャビティ。


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リアピックアップのキャビティ。
表面から2〜3層目あたりに妙な隙間がありますね・・・。
トップから力を入れて押すと、メコっとトップが引っ込みますww
なんていう作りなんでしょう・・・。


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ジョイントはもちろん(!?)ボルトオンです。


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ペグは、この時代の安ギターによく載ってた物です。ヤフオク等で正体不明の謎のブランドのギターが出品されていても、このペグが載っていると「ああ、昔の安ギターブランドだったんだな」という判断材料になります。


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ボディバックとネックは黒の塗り潰しです。きっと、とても木肌を見せられるような木材を使っていないから塗り潰してあるんでしょうね。



そして最後に価格ですが・・・
これが驚きの2万円以上ですよ・・・。
今は、1万円以下で買えるフォトジェニックやレジェンド等でさえ、もっとマトモな作りをしています。天下のGibson傘下のOrvilleを夢見た18歳の青年が、一生懸命汗水流してバイトした末にこのギターを手にすることとなってしまうなんて、不憫でならないです。
しかし、今となっては素晴らしい思い出です。




さて、この話には後日談があります。
仲良くしてくれていた上司にこの悲劇を話すと、「それは気の毒だ」と僕にYAMAHAのSL500をタダでプレゼントしてくれたのです。
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僕の後ろにあるレスポールシェイプのギターが、そのSL500です。
懐かしいギターや機材がいっぱい写ってます。フライングVやTALBO・・・アンプはラックシステムですね。ダイヤトーンのスピーカーも懐かしい・・・。
浜崎あゆみのデビューアルバムのポスターが貼ってあるところを見ると、きっと1999年あたりの写真と思われますね。ということは、このストーム事件が起こってから4〜5年後の写真だと想像します。



いろんなギター達と付き合ってきましたが、ストームは本当に思い入れの深い1本です。

あ、音のことに触れてませんでしたね。

・・・いや、それは野暮ってもんですね(^^)